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目の前にいるのはレプリカ――アッシュの複製品――だというのに、剣を振り下ろすその仕草は、まるで同じだった。いや、レプリカだからこそ同じなのか。
ルークの動きに思わず見入ってしまったシンクは、攻撃をかわすのが遅れてしまう。まずいと思った次の瞬間には、剣先が左肩を引っ掻いていった。白い服に血が飛び散る。
あかい、血。脳裏にちらつく鮮やかな紅に、シンクは舌打ちする。
案外呆気なく死んじゃったんだね。アッシュ、アンタはボクが殺してやるつもりだったのにさ――。
アッシュは死んだ。結局は彼も、星の記憶に抗うことが出来なかった。
預言に示されたとおり、この世界からいなくなってしまった聖なる焔の光。
そうだ。アンタはもういない。
「消えちゃえばいいんだよッ!!」
胸の奥から湧き上がってくる感情に、シンクは叫んでいた。預言を、そして自らを構成する音素を、すべてを切り裂く風の刃へと変えて。
こんな世界、存在する価値なんてありはしない。人間もレプリカもローレライも、全部全部、なくなってしまえばいい。もはやシンクは衝動に身を任せるしかなかった。
――アンタを殺した預言なんて、世界なんて、ボクが壊してやる!
(by sakae)
END
(08-03-17初出)
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