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「なあなあ、何かうまいもんくれよ!」
「はぁ?」
何なんだこいつは。心底煩わしいといった表情で見返したアッシュに、しかし子供みたいな笑みを浮かべたルークは尚も続ける。
「だって今日はハロウィンだろ。……あ、もしかしてお前知らねーの? 今日は俺がおいしい食べ物を貰える日なんだよ。毎年ガイやメイド達がお菓子をくれたぜ」
これはツッコミを入れるべきだろうかと考えながら、アッシュは頭痛を感じていた。どうせガイが甘やかしていたに違いない。訂正するのは面倒だ。
「……なら、ガイに貰ってこい」
悩んだ末に出した結論は、丸投げ。遠路はるばる、マルクトまで行ってこい。犬でも追い払うかのように、しっしと手を振った。しかし、その手をがしりと掴まれる。
「!?」
「……あれだよな、確か」
驚くアッシュをよそに、ルークは楽しげに笑いかけてくる。
「何もくれなかった奴にはイタズラしなきゃいけねーんだよな?」
さあ何しようかな〜とうきうきとした声を聞きながら、アッシュは溜息をつく。頭痛がひどくなった気がするのは、おそらく気のせいではない。
とにかく本格的にルークが調子に乗る前に、力ずくで黙らせてしまおう。
それにしても、何て一方的なハロウィンだろうか。今度ガイに会ったら、文句を言ってやらなければと思うアッシュであった。
(by sakae)
END
(07-11-14初出)
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